救急車と松葉杖と言えば誰もが、人生一度は経験したいリストに入っているのではないかと思います。
しかし、カッコ良い割りには大変です。
小学生の頃に松葉杖が必要になってしまうと外で遊べなくなる。
社会人の頃に怪我をすると、生活に支障をきたしてしまう。
大学3年生というちょうど良い時期。
ついに、先週、夢が叶いました。
ーーーーー
「せめて、ド派手なシュートを決めてその脚になったんだろうね。」
救急車の中、髪の毛を後ろに束ねているヒッピー男系の救急隊員が、痛み止めの種類を選びながら聞いてきました。
「まぁ、そんなところね」と私は爽やかにゴマカシながら、事態に至るまでを説明します。
ーーー
私は大学の女子クラブ・サッカーチームに所属しているのですが、練習中のこと。
パスを渡す練習で、なにやら左足の膝を捻ってしまいました。
そう。
ド派手なシュートをきめたでも、試合でもなく、練習。さらに言うとただのパス練。
地味な倒れ方の割には自力で立ち上がれなくなってしまっため、キャプテンにお姫様抱っこでフィールドの脇に運ばれます。そして、大学の緊急連絡先EMSに電話。
こういったときには患者に精神的に寄り添うことが大事なのでしょう。電話の反対側の女性は、すぐに救急車がくるからね、と励ましながら言います。
「わかるわよ。私も最近膝が痛いからね、わかるわよその痛み。」
確実に違う類の痛みのような気がしますが、ツッコまないでおきます。
すぐに、チームメートがざわつきます。
パトカーが来たとのこと。
EMSの連絡が来ると警察沙汰ではなくても、パトカーは現場に行かなくてはいけないらしい。
すぐさま駆けつけてきた警察官からは「しまった、救急車より先に着いちまったよ」の雰囲気が漂っています。とりあえず待ち時間の間何か仕事をしなきゃと思ったのでしょうか、私になぜかフィールドの名前の由来について聞いてきます。
20分待った後、救急車がようやく到着。
私よりも先に警察官がホッとした表情を浮かべ、いそいそとパトカーに戻って行きました。
救急車からは黒い制服をきた救急隊員2名が中から登場。
「ヤーレヤーレ誰かさんが地面に寝転んでいるぞー」と比較的ゆったりと近付いて来ます。
ウィーンと上下するかっこいい担架に乗せられられたのですが、救急車に乗せられてからもなかなか出発しません。その後5分に1回ほどの頻度で聞かれることになる「1ー10だと痛みはどれくらい?」という質問に「6」とテキトーに答えておきます。
しかしなんやかんや言っても、初めての救急車です。ウッフフとワクワクし、こっそり写真をとります。

いえーい
病院に到着。
ドラマでみるシーンのように救急診療から入場すると、受付の男が聞いてきました。
「1−10で痛みはどれくらい?」
すると、目の前から頭から血を流した高齢者の女性が運ばれます。
血まみれおばあちゃんと比べると、私の痛みなんて・・と考え始め「3」と答えます。
横に立っていた緊急隊員は「さっきまで6だったじゃないか」と言った表情を寄越したような気がします。
車いすに座らされ、手首に何やらつけられて、待合室に連れていかれました。

待っている間はとにかく暇です。
目の前に幼稚園児数名が手がけたような絵画が壁にかかっていたのでそれを眺めることに。なんとも色づかいが不吉で、不思議と心がどんよりしてきます。ついでにテレビは殺人のサスペンスドラマが流れています。

待合室に飾られた、呪われそうな絵
さらに2時間ほど待ち、脚の痛みより、車椅子の硬さによるお尻の痛みの方が勝り始めた頃ようやく呼ばれました。
結果。


足を固定するやつと松葉杖。
足を固定するものですが、サイズが合っていないため膝がたまに曲がります。
病院滞在時間、5時間。
シーンとした病院の裏口に連れて行かれ、寮に帰るために大学の無料バスを呼びます。
10分後にきた運転手が一言。
「せめて、素晴らしいシュートを決めて怪我したんだろうね」
ヒッピー救急隊員と全く同じコメントです。
けっ、ただのパス練だわいとまた思います。
しかし救急車と松葉杖、
小さい頃からの夢が二つも叶ったので思い残すことはありません・・!
次回号
やはり松葉杖は不便です。
もう飽きました。
ちなみに怪我をしたら大学側はケッコー色々と面倒を見てくれます。
どんなことをしてくれるんでしょう?お楽しみに。